ベトナムに関わる外国人の永遠のテーマ。
それは国内の資金を第三国へ安全に移動させることです。
ベトナムは中国同様に、海外からの国際送金や入国時の現金持ち込みは非常に寛容な反面、海外への送金や出国時の現金持ち出しに関しては制約が多く厳しいです。
今回は、ベトナムで稼いだ・預けたお金を”合法的”に海外へ移動させる5つの方法を紹介します。
ベトナム在住者、投資家、移住を検討している人など必見!
ベトナムの外貨持ち出し額の制限
ベトナムは出国時の現金持ち出し額に制限があるので正しい理解が必要です。
現金5000USDあるいは同額相当以上の外貨を申告なしに持ち出すことは出来ません。そもそも、法令では5,000USD(55万円相当)以上の外貨は持っている場合は申告する必要があります。
最初に正しく申告を行っておけば、国内で申告金額分の公的な資金ソース証明を確保できます。
入国時の外貨持ち込み額に制限はありませんが、現金5000米ドルあるいは同額相当外貨、または15,000,000ドン(現地通貨)のいずれかを超えて所持する場合は、空港で税関申告する必要があります(申告用紙は税関係官に請求してください)。この申告をせずに、出国の際に上記の額を超える現金を持ち出そうとした場合には、所持金を没収されることになります。
ーベトナム国家銀行(中央銀行)の通達第15号/2011/TT-NHNN
ベトナムから外貨を持ち出す5つの合法的方法
“資金ソースを証明できるかが全ての鍵を握る”
現地で正規就労して稼いだお金、事業で稼いだお金、カジノで稼いだお金、定期預金で運用したお金、株式投資で稼いだお金、不動産を売却したお金など、様々な種類のお金が存在します。
これらのお金をベトナムから海外へ動かす場合は、出国時に現金をハンドキャリーで落ち出す、銀行経由で日本(または他国)へ国際送金するなど、がポピュラーな手法です。
そして安全且つ合法的な資金移動には、そのお金の流れを証明できる”資金ソース(Source Of Fund)”という概念を理解する必要があります。
代表的な資金ソースの証明方法
- 入国時に税関申告を行って外貨を持込む
- 海外からベトナムの個人銀行口座に国際送金を行う
- 労働許可証を取得して現地法人から給料を受け取る
- 保有する不動産を売却した際の納税証明書を使う
方法1. 入国時に税関申告した”申告カード”と一緒にハンドキャリー
入国時に空港の税関で持ち込む現金を申告していれば、申告カードに記載されている金額を上限として、ハンドキャリーで落ち出すことが出来ます。
- 前提条件:入国時に税関申告をしており、申告カードのスタンプの日付から12ヶ月以内
- 注意点 :申告金額以上の持ち出しは不可。有効期限あり。
方法2. ベトナム国内の銀行が発行した”許可証”と一緒にハンドキャリー
ベトナム国内銀行から預金を引き出す際、当該銀行から許可証の発給を受けることができます。
しかし、数百万円の定期預金を取り崩したお金であっても、そもそもの元本のソースが証明できないと許可証は貰えません。申告をせずに持ち込んだ資金で定期を組んだ場合が該当します。
- 前提条件:ベトナムの銀行口座を保有しており、口座内に資金ソースを証明できる預金がある
- 注意点 :資金ソースの証明が出来ない場合、許可証は発行されない。
方法3. ベトナム国内の銀行窓内で国際送金する
地場の銀行は送金先の指定には比較的寛容で、自分以外の名義人や法人宛てにも送金できます。ベトナムの口座には普通口座、定期口座の他に投資口座があります。
- 前提条件:ベトナムの地場銀行の口座を保有しており、口座内に資金ソースを証明できる預金がある
- 注意点 :銀行によって規定が異なる。ベトコムバンクは寛容。
方法4. ベトナム国内の外資系銀行のオンラインバンクで国際送金する
HSBC、Citi、Standard Charteredなど欧州系外資銀行は、来店せずオンラインで国際送金が完了できます。つまり、日本にいながらベトナム国内の資金を海外に動かすことが可能。
総じて、マネロン対策のために送金先指定に非常に厳しく、自分名義の口座のみに送金が可能です。
- 前提条件:ベトナムの外資系銀行の口座を保有しており、口座内に資金ソースを証明できる預金がある
- 注意点 :銀行によって規定が異なる。特にHSBCは厳しい。
方法5. ベトナム国内のファンドで運用した後、国際送金する
ベトナムには銀行、証券、投資会社などが運営するファンドが多く存在します。中でも、特定の会社のファンドは元本の資金ソースが不明であっても、一定期間運用すればそれが根拠となり、海外へ送金できます。
- 前提条件:各ファンドの加入条件を満たす。
- 注意点 :非居住者は加入できない商品が多い。レジデンスカードの有無。
最後に
ベトナムではお金の出口戦略の設計が大切!
上記に紹介した方法を取れない人は以下のような選択肢があります。
- 銀行の国際デビットカードで海外ATMから引き出す(手数料3-5%+ATM利用料)
- 暗号通貨に変えて送金する
- 一人辺り5,000USDの上限を複数人で分けてハンドキャリーする
- 没収リスクされるリスクを承知で、無申告でハンドキャリーする
ベトナム人、外国人共に無申告での数百万円相当の外貨持ち出しが、X線検査の際に発覚して没収されたケースは多いです。例えば無申告で100万円をハンドキャリーしようとしてバレた場合、上限を超えた40-50万円は没収される可能性が高いです。
この”没収”というのが如何にも社会主義国にありがちな非公式なもので、実際には公的証明書類を貰えずポケットマネーに消えていく可能性が高いです。
基本的には、外国人よりベトナム人に対してのチェックの方が厳しい印象です。